人は時に、
ワインを飲む。
そして時に、
ワインを読む。
その一本の中には、
土地があり、
時間があり、
季節があり、
語り手がいる。
ある晩、
王国の食卓に、
一人のおしゃべりなスペイン人が現れた。

第一章
おしゃべりなスペイン人
彼は市場で人気者だった。
見かけた者は箱ごと抱えて帰る。
その年の太陽の話。
葡萄畑の話。
風の話。
彼は何もかも知っていた。
そして何より、
誰かに話したくてたまらなかった。
「ねえねえ」
「聞いて」
「ボクねえ」
王国の給仕たちは静かに天を仰いだ。
その頃、
遠い図書室では、
ある伯爵が静かに本を閉じていた。

第二章
左岸伯爵の沈黙
伯爵は何も語らなかった。
暖炉の火を見つめ、
一冊の本を読み、
ただ静かにグラスを傾ける。
「落ち着きたまえ」
その言葉は、
実際には発せられなかった。
だが、
部屋全体がそう語っていた。
一方その頃、
廊下の向こうからは
「ねえねえ‼️」
が聞こえていた。
伯爵は本のページをめくった。
そして事件は起きた。

第三章
冷蔵庫の反省室
王妃は決断した。
「少し頭を冷やしてくるのん」
こうしてスペイン人は、
冷蔵庫の反省室へ送られた。
そこには
チーズ伯爵がいた。
バター夫人もいた。
シャンパーニュ侯爵もいた。
しかし誰よりもよく喋ったのは、
やはりスペイン人だった。
「ボクねえ……」
「寒かったのん……」
王妃は腕を組み、
静かに見守った。
だが、
追放ではなかった。
物語は、
ここで終わらなかった。

最終章
運命の1センチ
長い晩餐会。
ノンアル王国騎士団。
揺れる燭台。
そして、
ワイングラスに注がれた
たった1センチの赤。
スペイン人は言った。
「ねえねえ‼️」
言い終わる前に。
王妃はグラスを手に取った。
ぱくん💗
沈黙。
完全なる沈黙。
その瞬間、
スペイン人は初めて黙った。
だが、
伝説によれば。
数年後の王国でも、
どこか遠くから時折、
「ねえねえ‼️」
という声が聞こえるという。
おそらく、
彼はまだ話し足りないのである。
Fin.
🌹「この物語は実在したワインたちに着想を得ています」
📜作品解説
「本作は、5.3時代に生まれた『ピーマン親方』を起源とし、5.5時代に四連作として再構成されたものである。」

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